犬の未来を想う

 

おはようございます。

ちょっと蒸し暑い朝ですね~。

 

先日あるテレビ番組で

『犬たちの悲鳴

ブリーディングが引き起こす遺伝病(2009)』

『続・犬たちの悲鳴

告発から3年(2012)』

というイギリスBBCの特集がありました。

皆さんは現在の犬が

人間の手によって作り出されたことをご存知ですか?

この番組の問題提起は

近親交配により遺伝子の多様性が失われ

種としての生存能力が危機にさらされている

ということでした。

犬の外見的な美しさを競うドッグショーでは

およそ100年でダックスフントの手足は極端に短くなり

ブルテリアやブルドッグの頭蓋骨は大きく変形し(右画像)

ジャーマンシェパードは正しい歩行ができていないにもかかわらず

スタンダードとして優秀な純血種として認められ

交配されてゆきます。

その結果起こったことは

「遺伝病の拡散」です。

・ボクサーの若年性腎疾患(先天性腎形成不全)

・キャバリアの脊髄空洞症や心臓疾患

・短頭種の呼吸器疾患

・ローデシアンリッジバックの脊椎破裂・類皮洞など。

 

僕にとって衝撃的だったのは

ローデシアンリッジバックのブリーダーが

「近頃の若い獣医は融通がきかなくて、安楽死を拒否するので困っています。

リッジがないだけで他のどこも悪くないなんて言うんです。

この犬種はリッジがないといけないの!と説明するんですけど聞き入れてくれません。

で、結局付き合いの長い獣医に連れて行って安楽死させることになるんです。

私の管理のもとで静かに死なせたいんです。問題視して騒ぎたてる人には任せられません」

どういうことでしょう?

生命を何だと思っているのでしょう?

リッジがないから安楽死をする獣医師がいること自体が異常です。

 

その後イギリスのケンネルクラブは

・外見上の理由だけで健康な子犬を殺すことを禁止

・親子及び兄妹間の近親交配の禁止

・犬種標準(身体的誇張)の改定

・新しい検査制度(BVAでのMRI検査)の導入

など「え?いまごろ?」と思ってしまうような点を

少しずつ改革を進めているようです。

 

ロンドン大学のスティーヴ・ジョーンズ教授の

「本当に犬を愛しているのなら

人間が虚栄心を満たすために

犬にどれほどの苦しみを強いているのか

もう一度よく考えるべきです」

という言葉がとても印象的でした。

 

<<補足>>

ローデシアンリッジバックについて

多数ご質問をいただきましたので補足いたします。

リッジ(ヘア)とは

背中にある逆毛のラインの部分をいいます。