最近、メイクに求めるものが少しずつ変わってきました。
以前は、下地にリキッド、パウダー、ハイライトと、
いくつもの工程を重ねることが当たり前で、
“しっかり仕上げる＝きれいに見える”と信じていました。
でも30代に入る頃から、
ファンデーションを重ねれば重ねるほど、
逆に厚塗り感が出てしまったり、
時間が経つとヨレやすくなったり、
ほうれい線に入り込んで老けて見えたりすることに気づきました。
朝鏡を見て、丁寧に仕上げたはずのメイクが、
夕方には疲れた印象に変わっているのを見るたび、
どこか虚しさがありました。
「こんなに頑張ったのに、なぜきれいに見えないんだろう」と。
そこで思い切って、
日焼け止めとコンシーラーだけのメイクを試してみました。
最初は不安でした。
肌を全部隠さないことに、勇気が必要でした。
けれど、その変化は想像以上でした。
肌全体を覆わず、
気になるところだけを自然に調整するだけで、
驚くほど顔が軽く見える。
素肌の質感が残ることで、
厚みのないリアルな清潔感が生まれました。
完全に隠そうとするのではなく、
“整える”という感覚に切り替わった瞬間、
鏡の中の自分がやさしく見えました。
肌を隠さなければいけないと思っていたのは、
もしかしたら自分自身だったのかもしれません。
日焼け止めだけでベースを作り、
くすみや小さなシミ、クマだけコンシーラーで整えると、
肌の呼吸ができているようで、
内側の明るさがそのまま出てくるように感じました。
完璧ではないのに、どこか透明感がある。
それが、思いのほか自分らしくて心地よかった。
メイクを引き算することで、
自分の素肌とちゃんと向き合えるようになりました。
ファンデーションで隠すのではなく、
肌そのものをきれいにしていきたいという気持ちが強くなった。
30代になって思うのは、
“美しさの基準が外からの評価ではなく、自分の感覚になった”ということ。
完璧に整った肌よりも、
生きている肌の柔らかさや自然な血色感のほうが魅力的に感じるようになりました。
日焼け止めとコンシーラーだけで出かけられる日は、
気持ちに余裕が生まれます。
心の軽さが、そのまま顔に表れる気がします。
メイクを足すのではなく、
削ることで見えてくる自信がある。
それを知った今、
“自然体でいられる自分”がいちばん好きです。
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