予防外来


ワクチン予防

◆仔犬や仔猫

☆混合ワクチン

仔犬や仔猫は生まれた直後にお母さんの母乳(初乳)を飲むことで移行抗体と呼ばれる抗体を身体に備えることができます。
ただしこの抗体はずっと維持できるわけではなく、成長と共に消失してしまいます。
移行抗体の消失は一般的に生後40~150日とされていますので、その時期に混合ワクチンを接種して免疫力を強化する必要があります。
その混合ワクチンの効果も時間の経過によって低下してしまうので、完全に効果がなくなる前に追加接種すること(ブースター効果)で、より強い免疫を獲得・維持することができます。

混合ワクチン接種の流れ

生後56~63日前後:第1回目接種
生後77~91日前後:第2回目接種(1回目接種より3~4週間後)
生後98~112日前後:第3回目接種(2回目接種より3~4週間後)

予防できる感染症


犬の感染症
感染症 6種混合 8種混合
犬パルボウィルス感染症
犬ジステンパー
犬アデノウィルス1型感染症:犬伝染性肝炎
犬アデノウィルス2型感染症:犬伝染性喉頭気管炎
犬パラインフルエンザウィルス感染症
犬コロナウィルス感染症
犬レプトスピラ感染症(カニコーラ)  
犬レプトスピラ感染症(イクテロヘモラジー)  

猫の感染症
感染症 3種混合
猫ウィルス性鼻気管炎
猫カリシウィルス感染症
猫汎白血球減少症

☆狂犬病ワクチン(ワンちゃんのみ)

3回目の混合ワクチンが終わってから、2週間経過してから初めての狂犬病ワクチンを接種します。
狂犬病は現在日本では発生していませんが、狂犬病予防法という法律が存在すること、狂犬病清浄国として接種率を高めて集団免疫を獲得する必要があることなどから、1年に1度の接種が義務付けられています。
接種を終えて各市町村にワンちゃんの登録おこない、仔犬のワクチネーションプログラムは終了となります。

成犬・成猫


☆混合ワクチン

成犬や成猫の混合ワクチンは日本では年1回の接種が推奨されています。
それに対し欧米(世界小動物獣医師会:WSAVA)では3年に1回の接種が推奨(ワクチンの種類によっては年1回)とされ、日本と比べその間隔は長くなっています。
しかしながらそのデータはあくまでも実験施設におけるものであり、また長期間の追跡調査が行われていないなど現在も議論され続けています。WSAVAは「それぞれの国において、その国における小動物の感染症とワクチネーションに関する科学的な研究を推進すべき」としています。
現在日本独自のデータがそれほど多くないため、当院では1年に1度のワクチンを推奨していますが、将来的にそのデータがアップデートされ、その結果によっては欧米諸国と同様なワクチンプログラムになる可能性もあります。
もし混合ワクチンを接種するにあたり、アレルギーが心配であったり、念のため感染症の抗体価等を調べてから検討したいという場合は、血液検査にてお調べすることができますのでお申し出ください。

☆狂犬病ワクチン

狂犬病は現在日本では発生していませんが、狂犬病予防法という法律が存在すること、狂犬病清浄国として接種率を高め集団免疫を獲得する必要があることなどから、ワンちゃんは1年に1度の接種が義務付けられています。
各市町村からの狂犬病予防接種のお葉書をお持ち下さい(お持ちでなくても接種できます)。
また、健康状態が良くない、病気の治療中などの理由で接種できない場合は、各市町村に「猶予証明書」を提出する必要があります。
当院でも問診や診察をして証明書を発行することができますので、ご相談下さい。

フィラリア予防

●フィラリア症とは…

わんちゃんが蚊に吸血されるとき、犬糸状虫という寄生虫が体内に侵入することで起こる病気です。
侵入したフィラリアの幼虫はすぐに移動するわけではなく、皮膚の下で約2カ月過ごしたあと血管から心臓や大きな血管(肺動脈)に到達します。
心臓や大きな血管内で成長・増殖することで、血液の流れを悪くしたり血管そのものを傷つけ、その結果色々な症状を引き起こします。

●フィラリア症の症状…

フィラリアに感染すると以下の症状が現れます。
  ・慢性的な咳
  ・お散歩に行きたがらないなど運動性の低下
  ・突発的な失神
  ・お腹が膨らんでくる(腹水)
  ・赤いおしっこ
などです。
フィラリア症は心臓や太い血管(肺動脈)に寄生するため、主なダメージは循環器と呼吸器ですが、二次的に肝臓や腎臓など他の大切な内臓も機能を失い死に至るケースも少なくありません。

●フィラリア症の予防


フィラリア症はとても恐ろしい感染症ですが、お薬を飲むことで100%予防できる病気です。
蚊が出始める少し前(3~5月)から蚊がいなくなる頃(11~12月)まで月に一度お薬をあげましょう。
お薬をあげ始める時は体重測定や聴診などを行い、フィラリア症に感染していないか採血をして検査をする必要があります。
当院では錠剤・お肉タイプ(チュアブル)・滴下タイプをご用意していますので、お気軽にご相談下さい。


ノミやダニの予防

近年ダニによる人間への被害(感染症)がニュースなどでも取り上げられることが多くなりました。
ウィルスを持っているダニに刺されることによって感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」や、リケッチアや細菌などを持っているダニに刺されることによって感染する「日本紅斑熱」「ライム病」「回帰熱」などがそれにあたります。重症な場合では死亡するケースもある恐ろしい病気です。

人間だけでなくわんちゃんやねこちゃんにも健康被害が出ることがあります。ノミであれば皮膚アレルギーや寄生虫の感染、貧血、ダニであれば皮膚アレルギーや感染症、ダニ麻痺症や貧血などです。

ノミやダニはフィラリア症と同じく、月に1度のお薬で予防することができます。予防する時期はノミやダニの活動が活発になる4月~10月ですが、越冬するという報告もあるため当院では通年での予防を推奨しています。お薬はお肉タイプ(チュアブル)や滴下タイプをご用意しております。